国際会議 -ICORD2012- 参加報告

 

特定非営利活動法人難病支援ネット北海道 永森志織

 

201223日(金)から6日(月)まで東京大学駒場リサーチキャンパスで開催されたICORD2012に参加した。Z International Conference on Rare Diseases and Orphan Drugs(第7回 国際希少・難治性疾患創薬会議)というのが正式名称で、希少・難治性疾患患者・家族・支援者・政府関係者・研究者・企業などが集まり、希少疾患の薬を作るために議論し協力し世界に発信することを目的とした会議である。

NPO法人PRIP東京(知的財産研究推進機構)の西村由希子さんがこの会議の事務局長で、池田和由さんほかPRIP東京の方々が通訳をして各国関係者との橋渡しをして下さった。

 JPAからは伊藤たてお代表、水谷幸司事務局長、「JPAの仲間」の大黒宏司編集長、代表秘書として永森志織、ほか数名が参加した。21カ国から286人の参加で、ほとんどは海外からの参加者という国際色豊かな顔ぶれだった。

 4日間に渡って20ほどのセッション、ワークショップ等が行われた。各国の政府関係者からの難病関連の政策の報告があり、日本からは厚生労働省健康局疾病対策課の山本尚子課長、中川義章課長補佐からの発表があった。2日目の夜にはウェルカムレセプション、3日目の夜にはバンケットが開催され、参加者同士の交流が行われた。3日目夜のバンケットではスタッフのみなさんが振り袖や法被姿で登場し、和太鼓、琴の演奏、餅つき、和菓子作り実演などが行われ、外国人だけでなく日本人も大いに楽しめる素晴らしい内容だった。

 

◇日本の患者会からの発表◇

23日(金)

○ワークショップ「当事者の関与による難病研究推進に向けた勉強会」

参加者:水谷幸司(JPA)、織田友理子(PADM 遠位型ミオパチー患者会)、小林信秋(難病のこども支援全国ネットワーク)、福島慎吾(同)、永森志織(難病支援ネット北海道)、他患者会から数名参加。

Professional-meeting「患者会/患者会サポート組織 リーダー会議」

参加者:水谷幸司(JPA)、永森志織(難病支援ネット北海道)

24日(土)

○ランチョンセミナー”Rare Disease Challenge”

発表者:伊藤たてお(JPA) 演題:「日本の患者会と研究」

25日(日)

○セッション5「患者会−コネクションとニーズ」

発表者:伊藤たてお(JPA) 演題:「日本の患者会の活動」

○ポスターセッション

展示:織田友理子(PADM 遠位型ミオパチー患者会)、若宮有希(同)、
ウエルナー症候群患者家族の会

26日(月)

○タウンミーティング

「東日本大震災から学ぶ、自然災害時におけるよりよい患者支援について」

発表者:鈴木明美(多発性硬化症MS虹の会)、千葉健一(岩手県難病・疾病団体連絡協議会)、水谷幸司(JPA)

 

 

◇日本の患者会からのその他の参加者50音順、敬称略)

大黒宏司(JPA、「JPAの仲間」編集長、全国膠原病友の会)、大坪雅子(ニーマン・ピック病C型患者家族の会)、加藤志穂(再発性多発軟骨炎支援の会)、加瀬利枝(日本ハンチントン病ネットワーク)、武田正道(クラッベ病患者とその家族の会)、近藤健一(シルバーラッセル症候群ネットワーク)、田中哲(ウエルナー症候群患者家族の会)

 

◇この会議で学んだこと◇

 

1.海外と日本では難病や稀少疾患の捉え方の違いが大きい

 海外ではRare Disease(稀少疾患)についての患者団体、連合体はあるが、日本のように長期慢性疾患まで含んだ「難病」ではない。日本の方が幅広い疾患を含んだ連合体を組織していること、社会保障制度の改革を求める運動に力を入れている、という点で違いがある。

 

2.希少疾患の薬の開発が抱えている問題と可能性

希少疾患の薬の開発はお金と時間がかかる上に患者数が少ないため利益が少ない。そのため製薬企業だけの努力では進まないと言われている。しかし、患者団体、製薬企業、研究者が協力しあってそれを可能としている例がたくさんある。海外では患者団体が資金を集めて研究者、研究機関等に資金提供をして薬の開発を後押しするというスケールの大きい活動をしていることがわかった。

 

3.薬の研究、開発のために日本の患者会が期待されている役割

この数年で遺伝子解析など基礎研究の分野が劇的に進歩している。疾患によっては、ほんの数人の遺伝子情報を解析することによって病気の原因がわかる例もあるという。しかし基礎研究者(研究所、大学等の研究者)は患者のデータや臨床サンプル(細胞や血液など)を入手することが非常に難しい。

また臨床研究者(医師など)は自分の患者のデータや臨床サンプルを入手することは可能であるが、各分野の学会や医療機関、研究機関などが患者の疾患データを個別に集めてデータベースを運用しているため、限られた情報しか入手できないという。

これからは国内で得られた疾患情報を世界的な基準に則ったデータベース(臨床データベース、患者レジストリ、バイオバンクなど)として利用できるようにし、国内のみならず世界中の研究者、企業等に研究・開発を進めてもらうことが治療法開発の鍵になる。臨床データベースについては既存の研究班がシステム構築に向けての研究を進めており、患者レジストリの分野で日本の患者会が主導してそのような仕組み作りができないか、という大きな期待がかけられている。

今年春からJPAが主体となって患者レジストリ(患者に関する情報を収めるデータベースの一種)構築と国内外の患者団体調査を行うことになっている。患者団体としてはこれまでにない大きな取り組みとなる。患者団体が研究分野に直接参画する意義やその危険性、将来性などを幅広く検討し、患者にとっても研究者にとってもより良い仕組みを構築するためにはどうしたら良いのか、慎重に進めて行く必要があると感じる。

 

◇終わりに◇

海外の患者団体代表者の講演では、お子さんが稀少疾患にかかったのをきっかけに団体を設立したというお話が多かった。どの国でも患者、家族の願いは同じだということを感じた。資金調達方法や各機関との連携など、参考にできる部分は大いに見習いたいと感じた。大きな刺激を受けた4日間だった。